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銀行融資における「信用格付」とは?格付けを上げるには?

銀行は証書貸付や手形貸付のような融資をおこなう際に融資をおこなう相手が信用しうる相手かどうかを審査する必要があります。これは融資をおこなった資金がきちんと返済されるかを調べておかなければ銀行側が資金を回収することができなくなるリスクを少しでも減らすためです。この審査をおこなう際には信用格付という独自の評価指標があります。

信用格付とは

銀行は融資をおこなう際に審査をおこないますが融資をおこなう相手ごとに異なる審査基準があると非常に面倒になってしまうため、相手先の借金の返済能力を同じ基準で客観的に評価することで審査の際の参考資料としています。この客観的に評価して信用度のランクごとに振り分けているものを信用格付けといいます。

この信用格付けに似ている格付けとしては債務者区分と呼ばれる区分方法もあります。

債務とは借金などを返済しなければならない義務のことですが、この債務者の現在の資金状況や収益能力、事業状態や財務状況など様々な観点から債務者をいくつかの区分に分類します。 正常、要注意、破綻懸念、実質破綻、破綻状態といったような区分に分類されます。信用格付ではこの債務者区分ごとに1格から12格までに分類します。

 

信用格付の決め方

信用格付は上記の債務者区分と密接な関係にあるためそれぞれ対応させることができます。それぞれの区分ごとの信用格付は以下のようになります。 銀行によってはそれぞれの範囲が異なる場合がありますが多くの場合は以下のようになることが多いようです。

以下の表を見てわかるように数字の小さい1格になればなるほど信用度が高く、反対に12格になればなるほど信用度が低くなります。

債務者区分

信用格付

正常

1格

正常

2格

正常

3格

正常

4格

正常

5格

正常

6格

要注意

7格

要注意

8格

要注意

9格

破綻懸念

10格

実質破綻

11格

破綻

12格

 

これらの信用格付を決めているものはもちろん債務者区分のように様々な観点になりますが、評価の中でも「定量評価」と「定性評価」の合計値で判断されています。 これらの合計点数が何点になるかによってどの格付に位置するのかが決まります。割合でいえば定量評価が7~8割、定性評価が2~3割といった割合で全体の評価がおこなわれます。 もちろん審査の基準やこれらの割合も銀行ごとに異なるため、銀行がどの部分を重視しているかによって評価基準に差がでてきます。

 

定量評価とは

定量評価は実際の事業の成績を表す損益計算書や資産や負債などの財政状況を表す貸借対照表をはじめとする書類を参考に評価される指標になります。 実際の決算の数字を見ながらの判定になるので細かな経営状況などを審査されます。審査の際には決算書類の中でもさらに細かな指標を算出していくのですが大きく分けて安定力と収益力などを審査されます。

 

安定力を表す指標

決算書類から企業などの事業安定力を分析するにはいくつかの財務指標を使うことがあります。 ここでは自己資本比率についてご紹介します。自己資本比率は総資本のうちにどれだけ自己資本が占めているかを表します。 通常資本には他人資本と自己資本があります。他人資本は借入金などのような他人から一時的に受け取っているものを指します。 わかりやすい例でいえば銀行から融資を受けている場合は、一時的に現金や預金などの残高が多くなります。 しかし、それらのお金はあくまでも他人から借りているものであって自分のお金ではありません。 そこで銀行は企業が正味の自己の資本がいくらぐらいあるのかを見ること、そして全体のうちどれくらいの割合を占めるのかを見ることによって企業の安定力を判断するのです。 一般的には自己資本比率は70%以上が理想とされ50%ほどあれば倒産しづらい企業といえます。

 

収益力を表す指標

企業の売り上げを生む力=「収益力」も非常に大事な指標となります。 ただ、いくら収益力があっても支出が多くなってしまっては意味がありません。 そこで銀行は売上高に対する利益の割合を算出することでその企業がどれほどの収益力があるのかを判断します。 この割合については売上高営業利益率や売上高経常利益率など様々な指標がありますがここでは売上高営業利益率についてご紹介します。 売上高営業利益率は売上高と売上高から販売費及び一般管理費を差し引いた営業利益の割合を計算します。 その企業のメイン収入とそれに付随する費用の割合となるのでなるべく割合が高いほうが望ましいですが、業種によって支出は異なりますのでそれぞれの業種ごとに目安となる割合が存在します。 その割合に近ければ企業の収益力は高いということになります。

 

定性評価とは

定性評価は上記の定量評価のように決算書類などの数字に表れていない部分を評価します。 数字では判断することのできない部分とは具体的には経営者本人の信頼性や人柄や経歴、将来性や社員の能力など様々です。 事業に大きな影響を与える重要な部分ですがこれらの価値は決算書上には現れません。 そこで銀行側は経営者本人との面談やヒアリングなどをおこない数字で把握することのできない情報を引き出していくのです。 それぞれの銀行で評価項目は異なりますが、一般的には経営者の能力や事業の将来性、企業全体の含み益や企業の将来性などを評価されることが多いようです。

信用格付のために対策するべきことは?

信用格付は銀行から融資を受けるために一番大事なポイントであるということは上記からよくわかるかと思います。 それではこの信用格付を上げるためにはどのようなことをやっていけばよいのでしょうか。信用格付は言い換えれば信用力です。 信用というのは短時間で得ることができるものではありません。 日頃から様々な努力や対策をおこなうことによって信用力は高まり結果として信用格付向上につながります。 具体的な対策としては収益力を上げ無駄な経費の支出を抑えること、そして現在の借入金を減らすことや商品やサービスの質の向上など事業を経営するうえで基本的なことを地道に重ねていくことです。 単純に資産が増加し負債が減少すれば事業は安定してきます。この安定こそが銀行が重視する安定力の評価につながるのです。 無駄な経費の支出を抑えることで利益率は向上し収益力も上がり手元にお金が残るようになります。これもまた銀行が重視する収益力につながります。 これらのように経営上の基本的な努力の積み重ねが事業を安定させ、さらには大きくさせます。 そうなれば必然的に銀行からの信用も得ることができるのです。

 

まとめ

銀行融資では上記の信用格付がどの位置にあるかで融資を受けることができるか、受けることができないかが大きく変わってきます。 しかし、信用格付というのは1日2日で上がるものではないことから日ごろからの取り組みが非常に重要になってきます。 信用格付と事業というのは比例関係にあります。事業成績や事業に対する姿勢が良くなれば信用格付も上がっていきます。そのため信用格付を上げようとすることも非常に大事ですが、経営上の基本的なことを忘れずに地道に取り組むこともまた重要になります。そしてこれらの日ごろの努力が信用格付を上げるだけではなく、事業の発展にも大きく貢献していくのです。 信用格付を決める定量評価と定性評価はどちらかが欠けていてもいけないものですので、事業成績だけではなくビジネスプランや経営力、販売市場を見極める力などの個人の潜在的な能力向上も信用格付をあげるために大事なポイントになります。

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