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法的再生とはメリットとその流れ

事業再生

 会社の経営を立て直そうとする場合に事業の再生を図りますが法律に従いきちんとした形での事業再生をおこないたいのであれば、私的再生ではなく法的拘束力もある法的再生を検討する必要があります。

法的再生とは?

事業再生のうち法的再生とは、事業再生を図る企業と債権者※1などとの間に公的な機関である裁判所が入ることで法律的な手段を用いて事業を再生させる手法のことです。

この法的再生には民事再生手続きや会社更生手続きがあり、代表的なものとしては民事再生手続きがあげられます。民事再生手続きは民事再生法をもとに行われる手続きとなっており、会社が抱えている負債などの負の資産を法律的な手段を用いて整理し現在おこなっている事業の再生を図ることを目的としています。この民事再生手続きを行うには当事者である債権者の一定の同意が必要となっています。

※1債権者・・・取引先などの相手に対して代金の回収する権利のことで、代表的な債権としては売掛金などが挙げられる。

法的再生のメリット

法的再生のうち民事再生や会社更生については、債権者から一定の同意を得られなければ行うことができません。この債権者には金融機関や取引先などが含まれるので、手続きをおこなうことができれば債権者に残っている債務のうち約80%~90%以上の債務を免除できる場合もあり、免除後の残りの債務についても無利息かつ5年~10年の期間で分割払いすることも認められる場合もあります。

これらの法的再生手続きを行うためにも債権者からの一定の同意は必ず必要なのですが、この同意に関しては多数決の原理が採用されている為、過半数を超える同意があれば手続きを進めることができます。つまり、法的再生手続きに反対している債権者がいる場合でも同意してくれる債権者が過半数を超えれば反対している債権者の意見は無視して強制的に法的再生手続きを進めることができます。

これらの部分が法的再生の一番のメリットといえます。また、会社が無くなる訳ではありませんので現在勤めている会長や社長といった、経営に携わる経営陣も変わる必要も無くこれまでどおり経営を行うことができます。

法的再生のデメリット

上記の法的再生のメリットだけを見ると非常にメリットが大きいイメージがあると思いますが、反対にデメリットもあります。法的再生手続きを行う場合には裁判所や弁護士等に業務の依頼を行うこともあります。その為、裁判所や弁護士などに支払う費用が発生することや手続きに時間がかかってしまうことなども挙げられます。

また、この法的再生手続きについての情報は公になるので、他社などから抱くイメージが非常に悪くなってしまう可能性もあります。そうなった場合には債務が免除された場合でも、その後の経営に支障をきたす可能性もあり今後の経営が非常に難しくなることも予想されます。法的再生は他社にとっては「倒産」のイメージが非常に強いためマイナスなイメージがついてしまうことが多く、1度マイナスなイメージがついてしまうと他社から信頼を獲得するのは非常に難しくなります。

1度失ってしまった信頼を取り戻すことは非常に時間もかかりますし、大変なことですので法的再生の手続きを検討する場合にはこれらのリスクを考慮した上で判断しなければなりません。

法的再生の流れ

法的再生には民事再生手続きや会社更生手続きがありますが、これらの手続きの流れとしてはほとんど同じになっており、今回は民事再生手続きの流れについて説明してきたいと思います。手続きの流れとしては大きく3つの段階に分かれます。

第1段階としては手続の準備から申し立てまでとなっており、まずは手続きの申立代理人弁護士を決定する必要があります。これは裁判所と会社の債権者との対応を行ってもらう為でもあります。特にこの民事再生手続きについては様々な手続きを踏まなければならず膨大な作業となってしまいます。その為、より専門知識のある弁護士を代理人として決定する必要があるのです。

弁護士が決まればその弁護士の指示に従い申立手続きの準備に入ります。申立には債権者名簿やキャッシュフロー計算書(会社の資金繰表)など様々な書類が必要になる為、事前に準備をしておくとスムーズに作業を進めることができます。また、弁護士に対する費用や申立に伴う費用なども発生してくる為お金の工面も必要なってきます。必要な書類の準備ができれば次の段階へ移ります。

第2段階は申し立てから手続き開始となります。裁判所に必要な書類を提出し申立てを行った後、裁判所が問題ないと判断すれば申立ては受理され裁判所から弁済禁止の処分が下ります。この弁済禁止というのは債権者が債務者に個別で債権を行使しようとすることや、債務者がこれらの行使に対応することなどが制限されるということです。要約すると申立てが裁判所に受理されると債権者は債務者から勝手にお金を回収できない、ということになります。

その後は債権者などに現在の事情などを説明し、債権者から民事再生手続きの理解と協力をお願いしなければなりません。ここで過半数の同意を得られなければ申立てが棄却される可能性もあります。過半数の同意が得られている状態であれば次の段階へ進みます。

第3段階では、事業再生後の計画などを提出する必要があります。その為、現在の事業の中で収益性の悪い(売上が悪い)事業の停止などを行う必要があり、具体的にどのように活動していくかを決定してきます。

計画案の中には最終的な資産と負債の金額を確定させておくことも必要となっており、資産や負債の最終的な時価を確定させなければなりません。この作業については弁護士ではなく税理士や公認会計士に相談することになる場合が多いようです。

計画案を提出すると、計画内容を監査する機関と公認会計士などが確認し、問題がなければ債権者による決議がおこなわれます。決議の方法は書面決議と集会方式とで行われ、債権者数の過半数及び債権者の議決権額の半分以上の賛成があれば計画案は可決されることとなり裁判所が認可を行います。認可が下りた後は不服申立がない限りはそのまま手続きは完了し、計画案に沿って事業をおこなっていくことになります。

民事再生の相談は「企業パートナー110番」へ

法的再生を行う場合には得られるメリットもデメリットも非常に大きなものとなります。
それぞれのメリット、デメリットを考慮し、検討した上で法的再生を行わなければなりません。
また法的再生手続きを行う場合にも自分たちだけで行うのではなく、これらの手続きの専門家である弁護士に相談することをおすすめします。弁護士費用などが発生してしまいますが作業の膨大さや専門性を必要とする手続きの為、不備があってはならない作業となります。
手続きに入る前に法的再生などを専門的に行っている弁護士に相談することによって手続きに関するアドバイスや最善の策を教えてくれますので、まずは一度相談してみることから初めてみてはいかがでしょうか。

監修者

ひとこと

会計業界に数十年おり、税務、財務のアドバイスを得意としています。的確なアドバイスにより、数十社の黒字化に成功しています。まずはお気軽にお問い合わせください。

 

氏名・資格

桒原 賢志 ・ 税理士

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