資金調達のリスクとは
事業用の資金を調達するには様々な方法があります。金融機関からの借入や国や地方公共団体からの補助金や助成金など様々です。これらは資金を調達するということで共通していますが、それぞれの資金調達の方法でメリットやデメリットがあります。
資金調達のリスクとは?
事業を行う上では資金は必ず必要になるものです。事業を始めて安定した売上が発生し、手元に資金が残っている場合はその資金を元に新たな事業を始めてみることもできます。
しかし、起業する場合や大規模な新規事業を始動させる場合は必ず資金調達を行う必要があります。
資金を調達するにあたって何も考えずに第三者機関から資金を調達していると、無駄な金利などを支払ってしまう可能性もあります。起業する事業や新規に始動した事業が軌道に乗らなければ売り上げがないにもかかわらず、資金の返済を行わなければならなくなり結果として経営不振となり倒産してしまう可能性もあるのです。
中には個人の自己資金を使って事業を行おうかと考える人もいますが、自己資金だけの場合小規模な事業の場合は特に問題はありませんが、中規模、大規模な事業となると個人の資金だけでは足りず資金を貯めるとしても非常に長い時間がかかってしまいます。そのため自己資金での資金調達については限界があるということが挙げられます。
資金調達を行っている機関は全国各地にあり、それぞれの機関によって金利なども異なるため慎重に選んでいかなければなりません。これらの金利は会社の経営状況や信用状況、業績などを元に金利などが設定されます。
金利が低いということはそれだけ返済する総額が少なくて済むということなので、なるべく金利が少ない機関から資金調達を行ったほうが支出を抑えることができます。金利相場としては日本政策金融公庫などの政府系金融機関の場合は0.3%~2.9%とされ、金融機関などは2%~10%、消費者金融などの場合は6%~20%と設定されることが多いようです。
融資別のリスク
自己資金以外での資金調達を検討する場合には、上記にもあるように各機関からの融資を受けることが一番早い方法となります。
しかし、一括りに融資といっても種類は様々あり、それぞれの融資についてもメリットやデメリットが存在します。調達しなければならない資金の金額や、どれぐらいの期日までに準備しなければならないのかなど様々な要件を考慮した上で検討する必要があります。
融資期間のうち政府系金融機関である日本政策金融公庫は、上記にもあるように他の機関と比べると金利が低いという特徴があります。その他にも担保や保証人が不要であることなどがあり非常に好条件揃いの期間となっています。しかし、その分審査が厳しく審査時間も長くかかってしまうことや、審査がとおる確率も申込者の約20%近くしかないことなどから簡単には融資をしてくれないことがよくわかるかと思います。
また、日本政策金融公庫が行う融資の中には無担保かつ保証人不要の「資本性ローン」と呼ばれる制度もあります。通常であれば融資を受ければ会社の負債として帳簿に計上されることになりますが、この資本性ローンの場合、その融資に関しては負債ではなく資本として取り扱われることになります。
その為実質的に資本性ローンは「資本制借入金」ということになります。
資本として取り扱うことで通常の融資の場合よりも決算書上の負債の金額が少なくなりこれにより他の機関からの印象が良くなり、さらに別の金融機関からも融資を受けやすくなるというメリットがあります。さらに金利についても会社の業績に応じて設定される為会社の状況に応じて対処してくれます。反対に黒字が大きくなってくると金利が上がってしまう為その点については注意が必要です。
地方自治体と金融機関などが行う「制度融資」という制度もあります。これは主に起業を行う会社などを対象としている融資となっています。起業したての会社はこれまでの実績が全くないため、金融機関などからの融資を受けることは非常に大変なことです。
そこで、金融機関などが金利の一部を自己負担することにより低金利を実現し、起業したばかりの会社が資金調達を行いやすいように設けられた制度になります。
金利も他の機関に比べても低く設定されているため非常に魅力的ですが、地方自治体なども絡んでいるため融資の審査に時間がかかることや地方自治体によって制度内容が統一されていないこと、そして保証料を支払う必要があるなどのリスクを伴います。 資金を調達する際は日本政策金融公庫などの金利が低い機関から調達した方が良いですが、その分審査が厳しく倍率が高いことや時間がかかってしまうというデメリットもある為、資金調達を急ぐ場合などは金融機関などから借りるなどその時の状況に応じて調達先を検討する必要もあります。
上記以外にも信用金庫からの資金調達や商工会などからの資金調達など様々な機関からの資金調達手段がありますが、あくまでも資金を他人である第三者機関から調達する訳ですからそれ相応のリスクがあるのは当然のこととなります。
補助金や助成金のリスク
資金調達の方法には、第三者機関からの融資など以外にも国や地方公共団体からの「補助金」や「助成金」といった制度を活用する方法があります。
最近では「創業・事業承継補助金」や「雇用促進」、「地域の活性化」を目的とした様々な補助金などがあり、様々な業種にも対応してきています。補助金や助成金は原則として返済が不要ですがその分金融機関から資金調達する際よりも審査は厳しくなります。その為提出する書類の数は増え、内容も厳しくチェックされます。
それらの申請書類の提出期限も法令で定められ提出期日を過ぎれば受け付けてもらえないなどの特徴はありますが、返済しなくて良いということは非常に魅力的ですので一度検討してみる価値はあると思います。 補助金等の申請にあたっては担当者を納得させるほどの事業計画書やその事業計画書の作成の元となったこれまでの実績や調査実績、そして補助金や助成金の対象事業となる事業の実績報告など様々な書類を作成しなければなりません。
まずは事業計画をしっかり立てた上で国や地方公共団体などに申請を行うことが審査に通る一番のポイントとなる為、たかが計画書と思って簡単に作成するのではなくこれまでの実績や数字の根拠などをしっかりと固めた上で計画書を作成し、審査の際にどのような質問をされた場合でも受け答えが正確にできるように準備しておく必要があります。
資金調達の相談は「企業パートナー110番」へ
事業と資金の関係は切っても切れない関係にあります。当然のことですが資金が無ければ事業を行うことはできません。同じ資金でも融資と補助金とでは大きな差となりますので、どの機関からの資金調達が会社にとって最適なのか、活用できる補助金や助成金が無いのかなど、あらかじめ調べておく必要があります。そうすることで返済義務の無い資金や低リスクの資金調達を行うことができ、結果として資金ショートを防ぐことにつながるのです。資金の調達が必要な場合はまずは活用できる制度がないのか調べることから初めてみましょう。
監修者
ひとこと
我々は税理士事務所として中小企業を何百社と見てきた「実績」があります。クライアントの目標達成のための一番のパートナーであるために、そのお手伝いをさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。
氏名・資格
桒原 賢志 ・ 税理士