資金調達|直接金融・間接金融とは?違いやメリットを解説
資金調達が必要な場合、金融機関などから借入をすることがまず重い浮かびます。これを「間接金融」と呼ぶのですが、もっとダイレクトに資金調達する「直接金融」という方法があります。今回は、直接金融について解説します。資金調達の選択肢が広がることは、貴社の経営上の自由度が増し、機動的な経営を後押しするはずです。
直接金融とは?
資金調達は企業活動にとって不可欠ですが、その方法として「直接金融」という方法が挙げられます。直接金融とは「お金を必要とする人に直接お金を渡す」「お金を必要とする人が、お金を出してくれる人から直接資金調達する」方法です。
直接金融の対となる概念に「間接金融」という方法があります。これについては後述します。
直接お金を出してくれる人から資金調達できるので、手続きや手間、コストなどが削減でき、フレキシブルな対応が可能となります。
直接金融の代表的な「株式」や「債券」
直接金融の代表的な方法として、「株式」や「債券」(社債)の発行が挙げられます。株式を発行し、それを購入すれば、購入者は株主となり、企業は株主から出資を受けることになり、純資産(資本)を増強することができます。
債権(社債)も同様で、直接債権者から資金を得ることができます。途中に機関をはさまず、ダイレクトに資金調達できるので、さまざまな資金需要に即応できます。
株式や債券以外にも直接金融の手法はあります。最近話題の「クラウドファンディング」はまさに直接金融の究極型ともいえます。直接、サイト上から「お金が必要です」と訴えて「投げ銭」を募るわけです。一般の方から直接お金を出してもらう直接金融の概念に沿った、WEB決済が進展した技術が可能にした新時代の直接金融です。
もちろん、家族や友人、知人にお願いしてお金を出してもらうのも古典的な直接金融の手法になりますが、いろいろ今後の関係を考えると最小限にすべきでしょう。
間接金融とは?
直接金融の対となる概念に「間接金融」というものがあります。間接金融は、お金を出す人、資金提供する人と、お金が必要な人の間に金融機関が入る方法です。資金提供する人からお金を預かり、資金が必要な人に仲介する金融機関が資金を提供します。
間接金融の代表的な「銀行預金」
間接金融の代表として挙げられるのが「銀行預金」です。銀行はお金を利用者から預かり、その対価として利子を支払います。
預かったお金を、今後は融資を受けたい人に貸します。その際に利息を借入側から徴収し、預金者に支払う利息と借入者が払う日側の差額で儲けを出しています。
直接金融の場合も、証券会社やクラウドファンディング運営に支払うわけですが、それは利息ではなく手数料です。
間接金融は「お金を借りる人」と「お金を貸す人」の間に、第三者が存在する取引であり、誰が貸したお金を誰が借りるのか、その匿名性が担保されます。直接金融の場合、株主や債権者が誰なのかわかるわけで、そのメリット、デメリットも考えなければなりません。
直接金融と間接金融のメリット・デメリット
直接金融と間接金融の概要について理解していただいたところで、直接金融、間接金融双方のメリットとデメリットについてまとめました。表にしましたのでご覧ください。
まず、出資者や預金者(お金を出す人)のメリットとデメリットです。
直接金融 |
間接金融 |
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メリット |
リターンが多い |
預金者のお金について、最低元本は保証される |
デメリット |
元本割れのリスク |
利息が低すぎる |
簡単にいうと、出資者にとって直接金融はハイリスクハイリターンであり、間接金融はその逆のローリスクローリターンです。
特に今の金利を見れば、お金を金融機関に預けて利益を得ようと思う人はほとんどいないはずです。
2021年8月現在の某銀行の普通預金金利は0.001%です。これは1億円預けても利息は1000円です。時間外ATMの引き出し手数料5回で消えてしまうくらいの利息しかない状況です。
株式購入やクラウドファンディングへの出資は、上手くやればリターンを出資額の倍にすることも可能です。失敗した場合、元本は保証されませんのでそこがデメリットになります。出資側にとっては、間接金融はうまみがなく、直接金融に賭けるしかないのが現状です。
資金調達する企業にとってのメリット・デメリット
出資側の直接金融、間接金融のメリット、デメリットはこうなりましたが、資金調達したい側についてはどうでしょうか?こちらも表に落とし込んでみました。
直接金融 |
間接金融 |
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メリット |
資金調達コストが低い |
金融機関に信頼がある。法的にも厳格に運用されている |
融資を断られるケースでも資金調達できる可能性がある |
一定の審査基準を満たせば確実に資金調達が可能 |
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資金調達先を選択できる |
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デメリット |
悪意を持った株主がいる可能性 |
支払金利が高い |
クラウドファンディング未達成の場合は返金 |
審査に時間がかかり即時資金調達が難しい |
資金調達したい側にとって、直接金融は審査もなくすぐに資金調達でき、フレキシブルな事業遂行が可能になる面でメリットが大きいです。間接金融の場合、審査に時間がかかり、審査に落ちてしまう可能性もあります。時間もかかりますし、何より金利の支払いが経営を圧迫します。
一方で、直接金融の場合、株式を悪意ある株主に握られると、経営に介入してきます。株主総会も大荒れとなり、会社の実権を奪われるリスクもあります。間接金融ならば、銀行も預け主もそのようなことはできません。
最近話題のクラウドファンディングは、設定した目標金額の寄付がない場合、クラウドファンディング不成立となり返金しなければなりません(寄付型で成立の有無のかかわらず資金調達できる場合もあります)。時間と手間、そして手数料を取られ、資金調達できなかったという最悪の結果になってしまいます。
歴史と伝統、信頼のある金融機関から間接金融で融資を受けるのは、手数料等も考慮しても、安全な方法になります。支払利息をどのように考えるのか、経営判断が問われます。
直接金融については今後も新しい方法が出てくるかもしれません。新しい方法ということは法的規制や保護が不十分な可能性もあるため、そのあたりのリスクをどのように考えるかでしょう。
まとめ 資金繰りのご相談は「企業パートナー110番」へ
直接金融という言葉、あまり耳慣れませんが、今回の解説でだいたいご理解いただけたはずです。株式を使った資金調達は、上場企業でない場合、なかなか大変です。
従来のように間接金融を使って銀行などから資金調達することがほとんどでしょうが、クラウドファンディングなど新しい形の直接金融の手法も登場しています。直接金融はフレキシブルで迅速な資金調達を可能にします。
間接金融と比較して、リスクが高いのも事実ですが、上手に両者を使い分けて経営に利用しましょう。
直接金融の内容や選択について「企業パートナー110番」にご相談いただければ、的確にアドバイスさせていただきます。「企業パートナー110番」には直接金融を用いた資金調達についてのプロフェッショナルがいます。
無理に直接金融を勧めることはいたしません。貴社の経営の現状を把握し、直接金融と間接金融のバランスや選択についてアドバイスいたします。是非一度「企業パートナー110番」までお問い合わせください。