中小企業の資金調達方法とは?円滑に進めるコツ
中小企業が経営を行っていくうえで、潤滑油、血液となるのがキャッシュです。円滑な資金調達をすることで、さまざまな場面で機動的な動きができ、事業の安定、拡大につなげることができます。資金調達というと、金融機関からの借入を思い浮かべますがそれだけではありません。今回は中小企業が行う資金調達の今について解説していきます。
中小企業の資金調達の現状
企業が事業を営む上では、支払いに充てるための運転資金や、新規に設備を購入するための設備資金、そして何か突発的な事態が発生したときに対応できる資金が必要になります。
しかし「自転車操業」という言葉に如実に表されているように、中小企業の資金繰りは厳しい状態が続いています。
「貸し渋り」「貸し剥がし」と呼ばれる、金融機関からお金を借りられない、繰り上げ返済を強引に迫られる時代からはやや改善しましたが、中小企業の資金調達は厳しい現状が続いています。
特にリーマンショック以降、大企業の資金繰りについては若干持ち直しましたが、中小企業については、金融機関がリスクを取れないため、審査が厳しくなかなか資金調達できない状態が続いています。
大企業については、90年代前半の貸し出しを100%とすると、90%台後半まで戻っていますが。中小企業については、リーマンショック以降、70%台で低迷しています。
2020年来の新型コロナウィルスの影響で、政府は公的融資を拡大し、審査も大幅に緩くしているため、一部融資については資金調達がしやすい状況になっていますが、今後については不透明です。
また、補助金や助成金についても枠が拡大しています。
中小企業の資金調達の課題
中小企業、特に設立から日が浅い会社の場合、金融機関からの融資は、審査が厳しくなり資金調達が難しいことが挙げられます。
以前のような明らかな「貸し渋り」などは減りましたが、やはり大企業と比べるとそのハードルは高く、資金調達できたとしても金額は少なめになります。
その課題を解決するために、下記に述べるようなベンチャーキャピタルや投資家、クラウドファンディングなど従来の融資の枠組み外で資金調達をする企業が増えていますが、なかなか新しい仕組みに適応できる会社も少ないです。
金融機関からの融資は、長年築き上げられてきた土台の上にあり、ある程度法的保護や規制もしっかりしています。融資によらない資金調達方法では、さまざまなリスク、法的保護のなさなどもあり、使いこなせないと思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。
総論として
- ・中小企業が融資によって資金調達する場合、大企業よりも審査等が厳しい
- ・その他の新しい方法で資金調達する場合、法的保護などが未整備でリスクがある
という、どちらにしても大変な現実があり、その克服が大きな課題になっているといえます。
中小企業の資金調達方法と手法
中小企業が資金調達を行おうとする場合、大きく分けて以下の3つの方法、手法に分かれます。それぞれ、一長一短があり、フレキシブルに対応できるようにしてください。
①金融機関からの融資
オーソドックスな資金調達方法です。何度も書いていますが、大企業に比べて中小企業の融資は審査が厳しくなっていて、なかなか希望金額の融資が難しい状態です。また、希望額が通ったとしても、審査に時間がかかる可能性があります。
融資を受ける金融機関ですが
- 1.日本政策金融公庫、日本商工会議所
- 2.自治体の制度融資、
- 3.民間銀行、信用金庫
- 4.ノンバンクなど
などに分かれます。番号が小さいものほど公的な融資であり、税金等を投入しているので、金利が低く、審査も緩く、融資が通りやすいものになります。
つまり、最初に銀行や信用金庫に行って「融資が通らない」と嘆き、ノンバンクなどに駆け込む前に、まずは政府系金融機関である日本政策金融公庫や最寄りの商工会議所へ行くべきです。
民間金融機関で落とされた中小企業も審査に通過する可能性があります。さらにいうと、過去に自己破産したことがある人でも融資が下りるのが「1.」のカテゴリです。
「2.」については、まず市町村の窓口へ行ってください。新型コロナウィルスの関係もあり、独自の融資制度を拡充している自治体もあり、当然、審査基準は従来よりも低くなっています。
民間金融機関については、従来取引があるならいいのですが、そうでないなら、あえて第一選択肢にする必要はありません。
ノンバンクなどからの融資は、融資実行までの期間が短い点はありますが、高金利、返済期間が短期間であり注意が必要です。
②出資の受け入れ(投資家やベンチャーキャピタル(VC)など)
金融機関からではなく、直接個人や団体から資金を募る方法です。
ベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家は、将来的に成長が見込める企業に出資します。出資なので株式を購入するという方法です。この段階で、個人事業主は使えない方法になります。
彼らは出資した会社が成長や上場したタイミングで購入した株式を売却して利益を得ようとします。したがって成長性が見込めない会社はこの方法で資金調達ができません。また、株を発行して株主になってもらうということですので、あまり特定の個人や団体に購入してもらうと、株主としての発言権も増し、経営に介入されるリスクもあります。
機動的に資金調達でき、返済義務もないものですが、リスキーな部分もあるため、よく専門家に相談してください。
③その他(助成金、補助金、クラウドファンディングなど)
クラウドファンディングは近年流行っている資金調達方法です。サイトに達成したいプロジェクトや事業を掲載し、個人から直接お金を募ります。出資ではなく寄付なので、経営権を左右されることはありません。
通常の場合、目標額が集まった場合の「リターン」を提供します。自社製品のプレゼントなどのお礼をします。寄付額とお礼の度合いを比例させることによって、寄付を増やしていきます。高額の寄付をした人には豪華なプレゼントをします。
しかし、プロジェクトの設定額に満たない場合、返金しなければならず、その手間や手数料を考えると割がいいとはいえません。資金調達どころか持ち出しになってしまう可能性もあります。
クラウドファンディング以外の方法としておすすめしたいのが補助金、助成金の活用です。国や自治体の税金を受給する方法で、返済義務はありません。
事業計画をしっかり行い、本当に補助金や助成金を使うことで事業展開や経営革新が達成できるというしっかりした根拠があれば、審査に通ります。返済不要の資金調達ができるので、ぜひ活用したいところです。
しかし、税金を支給するので不正受給については厳罰に処せされます。また、補助金、助成金が支払われるので、事業が終了し、報告が完了してからになります。つまり、今、資金がなくて調達する必要がある場合、緊急性がある資金調達については、補助金、助成金は合わないといえるでしょう。
資金使途についてもそれぞれで明確に定めがあり、どんな目的でも使えるお金ではないことに注意してください。
円滑な資金調達を実現させるためのコツと注意点
中小企業という不利な要素の中で円滑に資金調達するためには、いくつかポイントがあります。以下列挙します。
- ・複数年の事業実績(最低2期以上事業を継続していること)がよい
- ・不動産等担保になりそうなもの
- ・金融機関との取引歴、商工会議所などの会員歴
- ・事業計画、資金使途の透明性
要は、営業実績がしっかりしている会社で、金融機関や商工会議所とのやり取りがあり、目的がはっきりしていて、いざという時のリスクヘッジ手段があると、資金を提供する側も安心できます。
一方、以下の点がないか注意してください。あると、円滑な資金調達の支障となります。
- ・多数の金融機関からの借入がすでにある
- ・ノンバンクからの借入がある
- ・ここ数年実績が下降している
- ・開業して間もない
多重債務に陥らないよう、金融機関は多くの借入がある場合、審査を厳しくします。資金調達がしやすい、政府系金融機関や商工会議所でも、ノンバンクからの借入はよほど事情がないと融資が通らないでしょう。
開業間もない場合、通常の資金調達ではなく「創業融資」のカテゴリで資金調達を考えてください。
いずれにせよ、数年の営業実績は決算書等も含めて厳しく見られます。これは補助金や助成金を申請する場合も同様です。
まとめ 資金調達のご相談は「企業パートナー110番」へ
資金調達の方法は融資だけではなく、投資家からの出資や個人からのクラウドファンディング、補助金や助成金の受給など多岐にわたります。「融資が無理だからもうダメだ」と早計せずに、他のプラン、よりリスクが低い方法がないか検討してください。
政府系金融機関など、民間金融機関よりも審査が緩く、資金調達しやすい機関もあります。「資金調達=銀行、信金」というイメージを捨てて、新しい資金調達先を開拓しましょう。
とはいえ、自分だけでは効果的な資金調達方法が思い浮かばないという人もいますよね。「企業パートナー110番」にぜひお手伝いさせてください。「企業パートナー110番」には、資金調達のプロフェッショナルが多数おり、金融機関からの融資をはじめ、補助金、助成金やクラウドファンディング、投資家からの出資など多様な資金調達方法を、貴社の実情に合わせて提案いたします。
まず、資金に不安がある方はぜひ「企業パートナー110番」までご相談ください。