中小企業の事業再生・経営改善は企業パートナー110番にお任せください。

0078-6012-8177

受付時間 9:00〜18:00(土日祝定休)

「法人成り」とは?メリットやタイミング、手続き方法について説明

corporate

個人事業主として事業を営んでいる方が、ある時点で「法人成り」をすることがあります。個人事業主として順調に行えているのに、あえて法人成りし、会社設立をすることに意味があるのでしょうか?今回は法人成りのメリット、デメリットやその方法について解説していきます。

「法人成り」とは

法人成りとは、個人事業主として活動している人が、株式会社や合同会社など会社を設立して、事業主体を個人から法人に変えることを指します。

まったく事業をしていない人が新規創業の際に、法人を設立するのとは違います。法人成りは、すでに個人事業主として事業を行っている人が、法人を立ち上げて、個人事業主ではなくなり、会社経営者として事業を営むため、法人の設立登記を行うことをいいます。

法人と個人事業主は何が違う?

法人と個人事業主ではさまざまな面が異なります。違いを表にしましたので参考にしてください。

 

法人

個人事業主

事業を開始する方法

商号(社名)や事業目的、資本金、役員等を決める

開業届を税務署に提出する

定款を作成する

社印を作成する

資本金を振り込む

法務局へ行き会社設立登記の申請をする

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

 

事業の主体

法人

個人

資本金

1円以上

不要

出資者

1名以上

本人

責任

有限責任

無限責任

決算日

自由に決められる

12月31日固定

確定申告

事業年度末から2か月以内

翌年3月15日前後

代表者の所得

給与所得

事業所得

設立費用

最低60,000円

無料

印鑑作成

必要

個人の印鑑でOK

設立期間

数日~最短即日も場合によっては可能

登記完了までに2週間

即時即日

社会保険

強制加入

従業員4名位以下は任意加入

社会的信用

株式会社には劣るもののある

あまりない

借入

比較的容易

結構大変

経費として認められる範囲

比較的広い

狭い

所得税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その5%~45%

事業の売上から「事業所得」を算出してその5%~45%

個人住民税

代表個人の役員報酬を「給与所得」として算出し、その約10%

事業の売上から「事業所得」を算出してその約10%

消費税

課税売上1000万円以上の場合支払う

課税売上1000万円以上の場合支払う

法人税

かかる

なし

法人住民税

かかる

なし

法人事業税

かかる

なし

個人事業税

なし

かかる

大きな違いは、個人事業主の場合、税務署に開業届を出せば即日開業できるのに対して、法人設立(法人成り含む)の場合、事前に準備をする工程がたくさんあり、思いたってすぐにできるものではないことです。

税金関係も全く異なります。ざっくりいうと、売上がそれほどないうちは個人事業主の所得税率の方が、法人成りした後の法人税よりも低いので節税になります。しかし、年商1000万円を超えるレベルになると法人成りしたほうが節税になります。

法人成りのタイミングは?

法人成りのタイミングは、個人事業主としての税金額と法人としての税金額が逆転するラインが望ましいとされています。

ざっくりと

・課税売上が1000万円を超えそうなとき
・利益(売上-経費)が800万円前後になるとき

が法人成りのタイミングだと言われています。しかし、それより前でも、事業を拡張したい、株式を発行して資金調達したい、外部からの信用度を上げたいというのであれば、法人成りしていただいて構いません。

税金数万円を節約しようとして、個人事業主のままでいることで、大きなビジネスチャンスを逃してしまうかもしれません。税金面だけで判断せず、みなさんの事業の今後を見据えたタイミングでの法人成りが必要になります。

法人成りするメリット

法人成りするメリットを紹介します。わかりやすいように個人事業主のケースと比較表にしてみました。

法人成り(法人)のメリット

個人事業主のメリット

社会的信用がある

簡単に設立できる

経費の範囲が広い

定款などの作成義務がない

責任の範囲が有限

自由な働き方ができる

赤字繰り越しが10年である

廃業手続きもすぐにできる

売上が多くなれば個人事業主よりも税率が下がる

社会保険に加入できないため、国民健康保険と国民年金では老後が不安

法人成りするデメリット

法人成りにはデメリットもあり、場合によっては個人事業主のままでいた方がいいケースもあります。もっとも、個人事業主にもデメリットがあるため、両者を天秤にかけて判断することになります。

法人成り(法人)のデメリット

個人事業主のデメリット

設立までの手間がかかる

社会的信用がない

設立後の帳票作成や税務申告が大変

最大税率45%と法人税よりはるかに高い

赤字でも法人住民税がかかる

無限責任で経営失敗のマイナスはすべて自分が負う

社会保険(保険、年金)へ加入しなければならない

赤字繰り越しが3年までしかできない

会社の廃業手続きが煩雑

経費で落とせる範囲が狭い

会社の規模次第で就業規則の作成、提出義務

 

法人成りのデメリットは、個人事業主と比較して(天秤上での)球がかかることです。法人成りの手間は一度きりですが、その後も記帳や簿記は個人事業主とは比較にならないくらい複雑になります。

個人事業主ならば1人で全部やっていたことも、法人成りした後は税理士を顧問にしないとなかなか難しい部分があります。

最も大きなものが、法人成りし会社となった場合、社会保険(保険、年金)への加入や就業規則の提出、雇用保険への加入義務などが従業員の規模によっては発生します。とにかく、多くの手続きが法人成りすると複雑、煩雑になるため、売上がそこまで増えないうちは、個人事業主のままで営業していくのも1つの方法として考えられます。

法人成りの流れ

法人成り流れは、1から会社設立をする時とほぼ同じです。すでに事業をしているので、事業内容などは個人事業主のときのものを引き継ぐ形にすれば、比較的簡単にまとまります。

法人成りの大きな流れは下記になります。

商号(社名)や事業目的、資本金、社員(役員)等の決定

商号(社名)を決めます。すでに屋号を持っている場合も「株式会社~」「~合同会社」など「会社」が入った商号が必要になります。

会社になるので、資本金が必要です。2006年の新会社法により1円会社の設立=法人成りが可能になったので、資本金がなくても法人成りはできますが、外部の信用を集めるためには、300万円程度は資本金設定した方がいいでしょう。

役員や事業内容も決めます。自分だけの1人会社の場合も、代表取締役を自分にすることが必要になります。

定款を作成する

会社なので、会社のさまざまなルールを定めた定款の作成が必須になります。株式会社に法人成りする場合、作成した定款の認証を公証役場で行うことも必要になります。

社印を作成する

個人事業主の場合、印鑑は三文判でも可能でしたが、法人成りした場合「株式会社~代表取締役〇〇」という社印が必要になります。社印を添えて設立登記することになります。

資本金を振り込む

設定した資本金を銀行に振込みます。個人事業主の場合、プライベート口座と仕事用の口座を併用してもある程度許されましたが(できれば避けたいですが)、法人成りした場合、会社用の専用口座が必要になります。

当然、その口座の作成にあたっては社印が必要になります。

法務局へ行き会社設立登記をする

個人事業主の場合、税務署に開業届を提出すれば終わりでしたが、法人成りの場合、定款や必要書類を添えて、法務局に出向き会社設立登記が必要になります。登記書類に不備がなくても、登記が完了するまで約2週間かかります。

会社設立日=法人成りした日は、登記書類を出した日ですが、実際に法人成りし会社として活動できるのは登記完了後となります。

設立登記後社会保険や年金の手続きをする

会社の規模、従業員数によってはハローワークや労働基準監督署などに社会保険や年金、雇用保険などの届出が必要になります。個人事業主の場合、それは不要でしたが、会社としての義務が増えることになります。

個人事業主の廃業届を出す

個人事業主としての活動は終了するので、税務署に「廃業届」を提出します。

法人成りをするときの注意点

法人成りし会社となってもうっかり忘れてしまうことがあります。以下の点に注意してください。

個人事業主分の確定申告を忘れない

法人成りし会社となった年の途中までは個人事業主として活動しています。その部分について、個人事業主の確定申告は忘れないようにしましょう。

廃業前までの申告分、法人に資産を移行する際に発生する譲渡所得、消費税(課税事業者の場合)などは要注意です。

廃業後、事業税を納める

個人事業税の納付を廃業後1か月以内に行います。

一人会社でも株主総会・取締役会で意思決定が必要

一人会社の場合、個人事業主の時と意思決定は変わらない(全部自分1人で決める)のでは?と思われるかもしれませんが、法人成りし会社となると、その意思決定について議事録に残すことが必要になります。

好き勝手に方針を決めていた個人事業主の時と異なり、形だけでも書類に残すことが必要です。

通帳や各種契約の名義変更の手続き

さまざまな契約、公共料金、電話、クレジットカード、事務所の契約などは個人名義から会社名義にしなければなりません。変更手続きは面倒ですし、物件によっては居住専用で、事務所としての登記がバレると揉める可能性があります。

居住用物件は非課税ですが、事業所(事業用物件)は消費税10%がかかるのです。法人成りしても自宅兼事務所を使う場合、この辺りがネックになることがあります。

まとめ 企業の経営に関することのご相談は「企業パートナー110番」へ

以上、法人成りについて解説しました。個人事業主として一定の売上がある場合、法人成りして会社にした方が節税や社会的信用度などで得することがあります。

一方で、手続きや経理処理が複雑になるなどデメリットもあります。一度法人成りすると、個人事業主に戻すのは手続きや労力的にもかなり大変です。大きな人生の選択になるので、専門家のアドバイスを聞きながら進めてください。

「企業パートナー110番」には法人成りについて詳しいプロフェッショナルが揃っていて、法人成りの可否やそのタイミング、法人成りの際の手続き等総合的にアドバイスさせていただきます。

ぜひ一度「企業パートナー110番」までご相談ください。法人成りについて適時適切にサポートさせていただきます。

       2021©企業パートナー110番.