コロナで返済に困ったら考えること「借り換え」
事業を行っていく中で支出というものは必ず発生しますが、売り上げの金額に関係なく発生する借入金の返済などは大きな負担となる場合が多いといえます。
今では新型コロナウイルスの影響により思うような営業ができず売上が伸びない事業者が多いのではないでしょうか。
借入金の返済はリスケなどを活用することで返済額の減額や返済期間を延期してくれることなどがありますが、それ以外にも借り換えを行うことによって資金繰りを改善することもできます。
借り換えとは
既存の借入金の未返済額が残っている状態で新規の融資を受け、新規の融資で得たお金で既存の借入金を返済することを借り換えといいます。
この借り換えを行うことでいくつかの効果を得ることができることが特徴です。
借り換えにより得られる効果① 返済内容の変更
既存の借入金の金利が高い場合や返済計画通りに返済ができない場合に借り換えを行うことによって、金利を低くすることができることや返済期間、返済金額を変更することができます。
それにより資金繰りが厳しい状況においては返済期間を延長することで毎月の支出を抑えることができます。また、金利タイプを変動金利から固定金利に変更することで毎月の返済額を一定にすることができます。
借り換えにより得られる効果② 契約の簡素化
事業者によっては複数の借入金の契約がある場合があります。これは設備投資のたびに借り入れなどを行うと発生する現象であり珍しいことでもありません。
しかし、毎月複数の借入金の返済を行っていくと返済計画の管理が難しくなっていきます。また、契約ごとに金利も異なりますので損をしている場合もあります。そこで借り換えをおこなうことによって借入金を1本化することによって借入金の管理がスッキリさせることができることや有利な金利で融資を受けることができる場合もあります。
借り換えのメリット、デメリット
借り換えを行うとメリットばかりが目立って見えますが、デメリットもあることをおさえておかなければいけません。
メリットとデメリットをしっかりと踏まえた上で借り換えを行うかどうかを検討していきましょう。
借り換えのメリット
借り換えによる最大のメリットは金利を低くすることができることです。金利は1%変わるだけでも総返済額に大きく影響を及ぼします。
借入金の金額が大きければ大きいほどその影響は大きくなり資金繰り改善に向かうことができます。
融資を受けた時の状況と今の状況が同じということは中々無いことですので現在の状況に合わせた融資に借り換えることで無駄の少ないスマートな会計を実現することができます。
また、上記にもあるように契約を1本化することによる資金管理などの簡素化もメリットの1つです。
借り換えのデメリット
借り換えを行う際には契約を新たに行う必要がある為、保証料をはじめ事務手数料や印紙税といった様々な諸費用が発生します。
融資を受ける金額や返済期間によってこれらの費用の金額は異なりますが、場合によっては数十万円となる場合もあります。
ただし、借り換えを行った後の金額で賄うこともできます。また、手続きに手間がかかることもデメリットの1つであるといえます。
新たに融資を受けることになる為、通常の融資と同じで審査が行われ、住民票や証明書など各種書類の準備もおこなわなければなりません。
コロナ関連の融資への借り換えについて
現在は新型コロナウイルスの影響により様々な金融機関が無利息や無担保、保証料のかからない融資を推進しています。
金利の低減どころか無利息となれば今後の支出を大幅に圧縮することができます。
また、新規に融資を受ける際に必要な保証料も一部免除や全額免除となる場合もあるので併せて資金繰り改善に向けて大きな効果となるでしょう。
日本政策金融公庫においても新型コロナウイルスの影響により売上が減少し既存の借入金の返済が困難になっている事業者を対象とした借り換えを推進しています。
これまでは既存の融資の借り換えを行う場合には金利低減の対象外でしたが、今日のコロナウイルスの影響を踏まえ実質無利子、無担保融資となっています。
実質無利子・無担保融資とは?特別利子補給制度の対象となるには?
新型コロナウイルスの影響により次々に金融支援措置が行われており、補助金や助成金、給付金をはじめとして資金繰り支援対策として特別貸付やセーフティネット保証など様々な種類の支援策が登場しています。
事業者にとっては共通の問題点としては売上減少に伴う資金不足があげられます。
その為日本政策金融公庫では融資の面で実質無利子融資と呼ばれるものや無担保融資、特別利子補給制度などがあります。
これらの制度を上手に活用することで資金繰り改善に向けた取り組みを進めることができます。
実質無利子・無担保融資とは?
日本政策金融公庫ではこれまで金利低減の対象外であった借り換えについても金利を低減することとしています。
それにより当初3年間を限度として利率が0.9%低減されます。しかし、それだけでは無利子ということにはなりません。
それではなぜ無利子になるかというと利子補給の制度を併用するからになります。
借入元金と低減された利息部分を一旦返済しますが、後日、利子補給制度を活用して利子部分の返還が行われますので実質的には3年間無利子で融資を受けることができるということになります。
また、利子だけではなく融資の際に必要な場合がある担保についても不要となることもあります。
特別利子補給制度の対象者は?
この特別利子補給制度については条件が設けられており、それらの条件を満たしていなければ適用することができません。
適用要件は小規模事業者と中小企業者、個人事業者と法人とでも異なりますので確認しておきましょう。
1小規模事業の個人事業主 → 売上高の要件なし
②小規模事業の法人企業 → 最近1ヶ月の売上高が前年、前々年同月比15%以上減少していること、加えてその後の2ヶ月を含めた3か月間のうち1ヶ月も比較対象となる
③上記以外の個人事業主・法人 → 最近1ヶ月の売上高が前年、前々年同月比20%以上減少していること、加えてその後の2ヶ月を含めた3か月間のうち1ヶ月も比較対象となる
※小規模事業者とは卸売業、小売業、サービス業の場合常時雇用する従業員数が5名以下、それ以外の業種であれば常時雇用する従業員数が20名以下の場合を指します。
このうちどちらも該当しない事業者は③の上記以外の個人事業主・法人に該当することになります。
まとめ 資金繰りのご相談は「企業パートナー110番」へ相談
新型コロナウイルスの影響により様々な業種の事業者に大きな影響が出ています。
資金繰り面での問題が重要視される中、実質無利子・無担保融資や特別利子補給制度は事業者にとって大きな救いの手となるのではないでしょうか。
しかし、事業者によってはこれらの制度に該当しないこともあり、そのような場合は別の資金繰り対策を考えていかなければなりません。
特別利子補給制度に該当しない場合は実質無利子とはなりませんが、借り換えを行うことによって金利を0・9%低減してくれますので、多方面的に支出を抑えるような努力をしていくことが重要になります。
財政面だけではなく、税制面でも優遇措置などはありますのでまずは税理士などの専門家に相談してみてはいかかでしょうか。