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貸し剥がし、貸し渋りとは?対策やなぜ実施するのかを徹底解説

入れるKW:貸し剥がし、貸し渋り>金融機関からお金を借りるという当たり前のことが突然できなくなることがあります。貸し剥がし、貸し渋りと呼ばれる対応を突如金融機関が取り、お金を貸してくれなくなることがあります。優良顧客で返済ぶりもよく、経営も悪化していないのになぜ・・・、今回は金融機関の貸し剥がしと貸し渋りについて考えていきましょう。

貸し剥がし、貸し渋りとは?

今回取り上げる「貸し剥がし」「貸し渋り」、用語として聞いたことがある人もいるかもしれませんが、ここで定義を確認しておきましょう。貸し剥がしのほうがより金融機関が厳しい態度に出る行為になります。

貸し剥がしとは?

貸し剥がしとは、銀行等の金融機関が既に融資している資金を借入先から積極的に回収することをいいます。

金融機関が貸したお金を回収するのは当然では?と思われるかもしれません。しかし、貸し剥がしは通常の回収とは違います。返済ぶりが問題ない会社、経営が問題ない会社に対して、ヤ〇ザの借金の取り立てのように返済を迫るかの如く、「早く返してください」と発破をかけます。

あるいは、当初の契約にないのに、追加担保を求められることも貸し剥がしの1形態です。新規の担保を用意しなければ、融資を打ち切り、返済できない場合、既存担保の抵当権を執行して担保物件を売却し強制的に回収してしまいます。

毎月遅滞なく返済している会社に対しては、返済スケジュールを繰り上げて、1年先が完済期限なのを、半年先に強引に変更させ、毎月の返済金額を増やしたうえで、当初の予定にない返済期間を短縮した「繰上返済」を迫るようなやり方です。

まさに貸しているお金を、強引に剥がして回収するようなやり方となります。

貸し渋りとは?

次に貸し渋りです。貸し渋りとは企業の財務や経営状況の状態にかかわらず、金融機関が新規融資や継続融資を渋る状態を指します。経営状態が良くない会社に融資をしないのは当然ですが、貸し渋りの場合、経営状態がよく、通常ならが金融機関から「ぜひ借りてください」と営業に来るような優良企業であっても、お金をなかなか貸してくれなくなります。

明らかに融資の際のハードルを金融機関が釣り上げています。以前なら当然貸してくれたケースでも金融機関が貸し渋りをするため、スムーズな資金調達が難しくなり、運転資金等の確保が難しくなってしまいます。

貸し剥がし、貸し渋りは違法か?

当初の契約、あるいはこれまでの金融機関の審査基準を大きく変えるものが、貸し剥がしであり貸し渋りになります。それでは、貸し剥がしや貸し渋りは違法かというとそうではなく、違法行為ではないのです。

違法ではない=合法、適法とまでは言い切れないのですが、貸したお金を返してもらうために採る行動なので、違法性を指摘するのは難しいのです。闇金の取り立てのように脅迫や恫喝、暴力などを伴うことはあり得ないので、合法的な方法で返済を迫り、融資をお断りすることになります。

特に貸し剥がしについては「中小企業円滑化法」によって禁止され、同法が失効した現在も多くの金融機関では(中小企業に対しては)慣行として行わないことが根付いているとされます。現在、貸し剥がしに遭うとすれば、それはよほどのケースか、相手がまともな金融機関ではない可能性があります。

なぜ貸し剥がし、貸し渋りをするのか?

貸し剥がし、貸し渋りを行う理由について考えます。融資を行うのは金融機関の本業ですので、それを行わないのは本末転倒のようにも思えます。貸し剥がし、貸し渋りを行う最大の理由は、融資が不良債権化してしまうことへの危惧、怖れです。

1990年代後半、金融機関の不良債権が社会問題化し、いくつかの銀行が倒産、不良債権処理に多額の税金を投入し、大変なことになりました(住専問題、北海道拓殖銀行倒産など)。

金融機関は貸し剥がしや貸し渋りを行い、顧客を「詰める」ことで、貸出総額を縮小して自己資本比率を上げ、倒産しないように自行の身を守るということになります。

少しでも不良債権化しそうな融資については、金利を得て利益を上げるよりも、そもそも貸さない、あるいは回収を早めることで、とにかく回収不能になってしまうリスクを避けたいのです。

これらによって、金融機関が貸し剥がしや貸し渋りを行う大きな理由となります。

貸し剥がし、貸し渋りに遭わないための対策

金融機関からの貸し剥がしや貸し渋りは2000年前後と比べると減りましたが、それでもまだ一部にあるようです。貸し剥がしや貸し渋りに遭わないためにはどうすればよいのでしょうか?

業績を上げる

圧倒的に業績が良く、絶対に不良債権化しないだけの利益があれば、金融機関にとっては「超お得意様」になります。さすがに、こういう会社に貸し剥がしや貸し渋りは行いません。

向こうから「ぜひ借りてください」と営業クラスではなく役職クラスの人が来るような会社であれば、貸し剥がしや貸し渋りとは無縁に過ごすことができるでしょう。

金融機関とのコミュニケーションを積極的に行う

金融機関の担当者も人です。機械的にドライな貸し剥がしや貸し渋りを行うことはありません。普段から積極的にコミュニケーションを取っていれば、「この会社は大丈夫だ」と判断するはずです。

貸し剥がしや貸し渋り対策だけではなく、普段から積極的にコミュニケーションを取り、イベント等に参加するなどしておけば、新規融資の際にも金融機関への「貢献度」が加点評価になるでしょう。

保証協会の信用保証付き融資にする

無担保無保証人の融資の場合、不良債権化したときのリスクが大きく、貸し剥がしや貸し渋りの対象になりやすいです。

信用保証協会の保証付き融資であれば、返済不能になった時のリスクは保証協会が取ってくれるので、金融機関にとってはノーリスクの融資になります。ノーリスクの融資ならば、貸し剥がしや貸し渋りを行う理由はなくなります。

普段の返済に瑕疵を作らない

貸し剥がしや貸し渋りを実行される会社は何らかの「落ち度」があるかもしれません。1回でも返済に遅れがあれば、それを大義名分に貸し剥がしを実行されてしまいます。

あるいは契約時に、虚偽記載や、必要なことを書かなかったなど、すべて真実を告知していなかった場合も、言い逃れできなくなってしまいます。

こうした小さな瑕疵を金融機関は突いてきて、貸し剥がしや貸し渋りを行います。相手に付け込まれないようミスをなくしてください。

もし、貸し剥がし、貸し渋りに遭ってしまったら

上でも書いたように貸し剥がしや貸し渋りは違法とまでは言い切れない行為です。したがって、訴訟を起こすことも難しく、泣き寝入りせざるを得ないのでしょうか?いや、できることはあります。

貸し剥がしや貸し渋りは自社の経営に直結し、下手をすると倒産のリスクもあります。迅速に対応すべきで、そのまま何もしないのは非常に危険です。

素直に応じない、客観的根拠を求める

金融機関の担当者の「言うがまま」に応じてしまうのはNOです。貸し剥がしや貸し渋りの根拠があるのか、契約書の記述などの提示、説明を求めてください。ちょっと強く出れば、勝手に返済を早めてくれる従順な経営者がいると、担当者は舐めているのかもしれません。

正当な契約をしているわけですから、毅然とした態度で説明を求めましょう。

試算表の開示、他行の取引表の開示

当年度の実績が悪化していないのであれば、貸し剥がしや貸し渋りに応じる意味がありません。決算前にも試算表は出せるはずで、前年と比較して経営が好調、ないし悪化していないのであれば、なぜ貸し剥がしや貸し渋りに遭わなければならないのか、金融機関の担当者に聞くことができます。

また、他行との取引はそのまま行われているのであれば「なぜ貴行だけそんなことをするんですか?」と聞き返すことができます。他行との取引(借り入れ状況)の資料は必ず取っておきましょう。

金融庁の「金融サービス利用者相談室」に相談する

金融庁が貸し剥がしや貸し渋りを含めた、融資トラブルについて専用窓口を設けています、そちらに相談して指示を仰いでもいいでしょう。あまりに悪質な場合は、金融庁から当該金融機関に行政指導などが行くはずです。

金融サービス利用者相談室|金融庁
https://www.fsa.go.jp/receipt/soudansitu/index.html

まとめ 資金調達、資金繰りのご相談は「企業パートナー110番」へ

貸し剥がしや貸し渋りについては違法とまでは言い切れないため、被害に遭った場合、弁護士に相談しても解決できない可能性があります。

以前と比べて貸し剥がしや貸し渋りは減っていますが、もし被害に遭った場合、相談機関を見つけにくいという欠点があります。

「企業パートナー110番」では貸し剥がしや貸し渋りを含め、専門家が相談に乗ります。貸し剥がしや貸し渋りは会社の経営に直結する重大な問題ですので、一人で悩まずにぜひご相談ください。

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