ベンチャー企業の資金調達の課題とは
近年、新たな取り組みや挑戦を続けるベンチャー企業が増加傾向にあります。彼らの革新的技術や斬新なアイディアが社会を大きく変える例も少なくはありません。
とはいえ、ベンチャー企業であるだけに、企業経営に必要な資金調達に頭を抱えている経営者は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ベンチャー企業の資金調達にフューチャーし、その課題について掘り下げていきましょう。
ベンチャー企業の資金調達とは?
この章では、ベンチャー企業の資金調達について、その課題を見ていきましょう。
まずは、ベンチャー企業の概要についても触れておきます。ベンチャー企業とは、「新しい技術や事業を開発し、発足させた企業」を指します。これらは規模の小さな中小企業であることがほとんどであり、また設立間もない企業も多く見られます。そして、そこで問題となるのが一般的な資金調達が難しいという点です。
規模が小さく実績も乏しい企業相手の場合、銀行をはじめとした金融機関は中々融資を実行してくれません。なぜなら、信頼が乏しくリスクが大きいからです。返済に関するリスクを負ってまで融資を行う金融機関は少ないでしょう。
では、世のベンチャー企業はどのような方法で資金を調達しているのでしょうか。主な方法を下に挙げておきます。
- 自己資金
- 親戚や友人からの資金提供
- 日本政策金融公庫からの融資
- 助成金や補助金
- ベンチャーキャピタル
- クラウドファンディング
- エンジェル投資
- M&A
これらの手段については、次項にて詳しくご紹介します。
資金調達は、その方法や企業の状態によって、向き不向きがはもちろん、調達可能金額にも違いがあります。そのため、企業のレベルやステージによって、資金調達の手段も変えていくのが望ましいと考えられています。
金融機関の融資だけを念頭に置くのではなく、ベンチャー企業の場合はベンチャーに適した方法を考え選択しなければ、企業の存続や成長を勝ち取ることはできません。
資金調達方法と種類
ここからは、ベンチャー企業の資金調達方法の種類について見ていきましょう。ベンチャー企業の主な資金調達方法は先述の通り。それでは、順に詳しく説明します。
①自己資金、もしくは親戚や友人からの資金提供
ベンチャー企業の経営を、まずは自己資金や親戚・友人からの資金提供により行う方は大勢います。しかしこの場合、大きな資金を手に入れにくいのは難点。そのため、企業としてできる技術開発やサービスはどうしても制限されてしまいます。ただし、返済リスクの面では負担が少ないのはメリットと言えるでしょう。
②助成金や補助金
ベンチャー企業が利用できる可能性がある助成金や補助金制度は、いくつか存在します。例えば、「創業補助金」や「ものづくり補助金」など。また、新興企業に対する助成金・補助金に力を入れている自治体もあります。
ただし、こういった制度を活用する場合の審査は非常に厳しいのが難点。しかも資金は後払いになるため、それまでの資金を他の方法で繋がなければなりません。
③日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫は政府が出資する金融機関ですが、ここでは「新創業融資」という融資を行なっています。
一般的な金融機関の融資はベンチャー企業にとって難しい場合がありますが、この「新創業融資」はベンチャー企業に向けた融資。そのため審査が速く、さらに無保証・無担保で資金を借りられるのが特徴です。また、融資の上限額は3000万となっています。
④ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタルとは、上場していないベンチャー企業などに対し出資する機関を指し、出資先の企業が上場した後に株式を売却し、利益を取ることを目的しています。そのため、ベンチャーキャピタルは出資だけでなく企業のコンサルティングまで行う場合が多く、出資を受けた企業は自社の成長や改善も目指せるのが大きなメリット。
資金を必要とする多くのベンチャー企業が、ベンチャーキャピタルを利用し、資金調達を行なっています。
⑤クラウドファンディング
近年、クラウドファンディングによる資金集めがメジャーになりつつあります。クラウドファンディングとは、インターネットを通じて自身のアイディアやサービスについて発信し、一般の人々からの資金提供を募るもの。専用のWebサイトも続々と開設されています。
クラウドファンディングは大きな資金調達には向かないものの、比較的手軽であり、またある意味で企業の広告にもなる手段です。
⑥エンジェル投資
エンジェル投資とは、エンジェル投資家からの投資により、資金提供を受ける手段のこと。
ここで言うエンジェル投資家とは企業などに投資を行なっている個人投資家のことであり、多くの場合は投資先企業のアイディアやサービスに共感し、事業を応援するために投資を行います。
さらに、近年では「エンジェル税制」という税制上の優遇措置も導入されているため、エンジェル投資は今後も活発化することが見込まれます。
ただし、投資家による経営への介入や株式取得率には注意が必要です。
⑦M&A
企業の合併・買収を指すM&Aですが、これもベンチャー企業にとっての資金調達方法のひとつ。
大手企業に自社を買収させ、その傘下の企業として資金提供を受けながら事業を進める方法です。これは海外では比較的メジャーな方法であり、成功すれば安定した経営が可能に。ただし、ベンチャー特有の身軽さや独立性は失われる可能性があります。
このように、ベンチャー企業の資金調達には、一般的な金融機関以外にも多くの選択肢があります。
とはいえ、どの手段においても資金調達成功のために重要なのは、相手方に提出する事業計画。事業計画のクオリティこそが、融資係や投資家からの信頼に繋がり、敷いては資金調達の成功に関わるのです。
資金調達のメリットとデメリット
ベンチャー企業にとっての資金調達は、調達自体が難しいとはいえ、成功した場合にはメリットしかないとお考えの方は少なくないでしょう。しかし、資金調達の成功はベンチャー企業にとって、必ずしもメリットばかりとは言えません。
この章では、ベンチャー企業にとっての資金調達の、メリットとデメリットをご紹介しておきましょう。
-資金調達のメリット
- アイディアや事業を形にできる
- 競争力が高まる
資金調達の最大のメリットは、資金があることにより新しい製品・技術開発やサービスを実行できることです。この点は、資金がなければ元も子もありません。
また、資金力があることによる企業としての競争力が高まることもメリットと言えるでしょう。同じような取り組みをしているライバル会社がいれば、当然資金力がある会社の方が有利になります。
-資金調達のデメリット
- 外部の介入
- 身軽さやスピード感が損なわれる
資金調達を行うにあたっての大きなデメリットは、外部の介入が不可避になってしまう点にあります。出資してもらったからには、資金提供者側からの意向は少なからず反映させなければなりません。
また、資金を元手に会社が成長していくにつれ、部署や人数が増え、物事を身軽にそしてスピーディーに進めづらくなってしまう恐れもあります。
自由な発想と身軽さはベンチャー企業の強みと言えますが、資金調達によってこれらが損なわれる可能性もあるのです。
まとめ
ここまで述べてきたように、ベンチャー企業の資金調達には近年さまざまな選択肢が設けられています。
そして、それぞれの企業にとって何より大切なのが、自社にあった資金調達手段を選択すること。企業によってマッチする資金調達先は違います。
各手段の特性を踏まえ、また資金調達を行うメリット・デメリットも鑑みた上で、慎重な判断を行いましょう。
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監修者
ひとこと
「クライアントの目標達成のための一番のパートナーでありたい」。私達には中小企業を何百社と見てきた「実績」があります。ぜひ、まずはご相談ください。
氏名
山取 大希
資格
:税理士 (関東信越税理士会川越支部 登録番号 128770号)
:事業承継士
:一般社団法人 事業と資産を承継させる会 代表理事
:川越一番街商業協同組合 顧問税理士