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バイアウトとは?企業再生や事業承継の1つの手段

Buyout

バイアウト>業績が悪くなった企業でも、やり方次第で売上を伸ばせる部門があります。また、経営者の高齢化などで、このまま事業を廃業してしまうには惜しいブランド力を持つ会社もあります。そうした会社を「バイアウト」という手法によって企業再生、事業承継することができます。今回はバイアウトという経営手法について説明いたします。

バイアウトとは?

バイアウト(BUYOUT)とは、「経営が悪化した会社を、主にその企業の経営者や従業員が買収すること」を指します。英語で訳すとバイアウトは「買収」になりますが、経営用語としては、定義のように限定された買収になります。

つまり、他社が自社のシェアを広げるために企業を買収するケースや、事業を引きつぎたい第三者に会社の経営権を委譲する形の事業承継、M&Aはバイアウトに含まれません。

あくまで会社内部で、経営者や従業員が会社を買収し、株主の手から会社の経営権を取り戻し、業績が悪化した会社を立て直すために使われる手法です。他者に買収されて会社が望んでいない方向に行く前に、自分たちで理想、理念を取り戻し、自社を再生するという方法になります。

目的も従来のM&Aなどと異なります。

  • バイアウト:買収した人たちの利益を上げる
  • 従来型M&A:買収した他社の利益を上げる

M&Aで買収された会社は、M&Aを仕掛けた会社等の意思によって、好きなように「魔改造」され、元の理念、創業者の意思などは無視されますが、バイアウトはあくまでその会社の内部の人が、内側から収益を改善させ、創業理念などをより実現すべく改革するために経営権を握ります。

「コロワイド」に経営権を握られた「大戸屋」は、ほどなく、その理念であった「お店で調理して温かみのある食事の提供」を否定され、セントラルキッチンによる金太郎あめのような、レンジで温めるだけの料理へ改造されてしまうでしょう。これが通常の買収となります。バイアウトであれば、もっと内部調理の良さを引き出す改革となるはずです。

バイアウトの3つの方法とその目的

バイアウトには大きく分けて3つの類型があります。それぞれ「マネジメント・バイアウト(MBO:Management Buy Out)」「エンプロイー・バイアウト(EBO:Employee Buy Out)」「レバレッジド・バイアウト(LBO:Leveraged Buy Out)」と呼ばれます。

比較できるよう表にまとめさせていただきました。

 

バイアウトの類型

内容

目的

代表例

マネジメント・バイアウト(MBO)

経営者や経営陣が株主から自社株式を買い戻す

会社の立て直しを株主の意見に左右されずに行うため。株式上場を廃止したい

「すかいらーく」の上場廃止(創業家がMOB)

エンプロイー・バイアウト(EBO)

従業員が会社の株式を獲得して経営権を握る

従業員に事業承継させる。親族内に後継者がいない、親族がトラブルメーカーでその人に承継させたくない

柳沢慎吾や飯島直子が所属する芸能プロダクション「ハーキュリーズ」はもともとの「JVCエンタテインメント」をEBOして設立した

レバレッジド・バイアウト(LBO)

買収会社が買収される企業の資産や今後に期待されるキャッシュフローを担保に金融機関などから資金を借りて買収する

買収される企業の資産や今後の収益を担保にでき、少ない資金で買収可能。買収先の業績が良く、経営理念などは活かす

「ソフトバンク」による「ボーダフォン」の買収

 

事例としては、それほど多くないのですが、外部の「ハゲタカファンド」に買われて無茶苦茶にされたり、敵対的買収されたりするよりもはるかに経営を立て直すことができるはずです。 大戸屋もMBOすればよかったのかもしれませんが、創業家と経営陣の骨肉の争いが発端ですから難しかったのかもしれません。

バイアウトのメリット・デメリット

バイアウトは通常のM&Aなどとは違う手法なので、メリットも大きいのですがデメリットもあります。こちらについても表にまとめてみました。

 

メリット

デメリット

バイアウト全般

・短期間に買収可能

・株式を一括で売却できる

・金融機関からの評価が上がる

・会社の事業の主導権が不安定になる

・適正価格で売買できるかどうかM&Aより不透明

マネジメント・バイアウト(MBO)

・株式上場を廃止することで外部株主からの圧力を排除できる

・中長期的な視点で事業の最高陸が可能になる

・株式上場廃止により資金調達が難しくなる

・会社と経営者の「利益相反」が生まれる

・経営の監視機能の低下

エンプロイー・バイアウト(EBO)

・会社を熟知している従業員へ事業承継でき安心

・従業員には資金力がない

・借入をしなければならない

レバレッジド・バイアウト(LBO)

・少ない投資でバイアウトできる

・バイアウトに伴う利息の返済は損金算入でき節税になる

・バイアウト後の再建に失敗すると損をする

・LOBのための借入金利は一般的な借入金利と比べて高い

 

 

メリット、デメリットありますが、既存のM&Aや事業承継にはないメリットもあります。会社を守り、今までの事業を発展させる形でなんとか存続させたい場合、バイアウトは有効な選択肢になり得ます。

バイアウトを成功に導くポイント、注意点

バイアウトを成功させるために注意していただきたいこと、ポイントを解説します。

今後の事業計画をしっかり立てる

漫然とバイアウトによって経営権を掌握し事業を継続してもうまくいきません。このままでは駄目だからバイアウトを検討したはずです。実際に事業を継承して、何に注力し展開していくのかビジョンをはっきりさせないと、経営責任だけを被ることになります。

自社の企業価値を知る

自社の企業価値がなければ、誰もバイアウトしけくれません。逆にこんな会社潰れた方がいいと思われてしまえば、バイアウトされる価値もなくなってしまいます。 適切な価格、適切な手法でバイアウトを成功させるためには、自社が市場でどのくらいの価値があり、買収に値するものを持っているのか把握しておく必要があります。買う側もバイアウトに値する会社なのかよく見極めてください。

従業員の理解、モチベーションの維持

EBOの場合も全社員の出資で買収するのではないかもしれません。買収する、されることで従業員のモチベーションが維持されなければ意味がありません。これまでの会社ではなくなることで、従業員が去っていくと貴重な戦力を失ってしまいます。

目的をはっきりさせる

企業再生、事業承継の方法として本当にバイアクトが適切なのか考えてください。上で記したようにバイアウトには3類型があり、それぞれメリット・デメリットがあります。 また、バイアウトではなく、他のM&A方法(例えばIPO(Initial Public Offering))を採ったほうがいい場合もあります。 今の事業を存続させ良い部分を伸ばすべきなのか、思い切って社名やブランド、事業内容も変えた方がいいのか、買収資金の調達方法などが適切か、バイアウトを選択する前に考えるべきポイントはいくつもあります。 本当にバイアウトを選ぶべきなのか、一度バイアウトしてしまうともう戻れません。よく考えてください。

まとめ 企業再生についてのご相談は「企業パートナー110番」へ

バイアウトという手法については、これまであまり一般的に知られていませんでした。しかし、従来のM&Aや事業承継の方法と比べてメリットも多く、自分の会社の経営を守り、敵対的な第三者によってズタズタにされないためにも有用な手法になります。 なかなか経営者の方だけで考えるのも難しいケースも多いので、ぜひ専門家を頼ってください。「企業パートナー110番」では適切なアドバイスができます。ぜひ一度ご相談ください。

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